先生と私と元彼と。

第五話†帰る場所

家に着き、制服から着替え
学校を出てからのことを
隣に座ながら話した。

駅に向かう途中で
親父に捕まったこと。

そこで、今後一切
私たちに干渉しないと
約束したこと。

脅しことは黙っておこう。

『そっか、大変だったな』

私の前髪を上げて
ﾁｭｯとｷｽをおとした。

優しくされるのは
なんだか擽ったい。

親父も元彼も
あんなだったから
人に優しくされるのは
本当に初めてだった。

『とくに何かされた
わけじゃないし大丈夫だよ』

舷に笑ってみせた。

『わかったけど、用心はしろよ』

馬鹿親父はあの女が
一番大切だから
約束を破るなんて
まねしないと思うけど
用心するにこしたことはないか。

『そうだね、気をつけるよ』

約束を破って
干渉して来れば
宣言通りにあの女を
精神的に痛めつけるだけの話だ。
方法はいくらでもある。

『何かあったら
即行で俺に連絡しろよ』

抱き寄せられ、舷の肩に
寄り掛かる形になった。

『うん』

今頼れるのはただ一人。

お母さんは今、
何処でどうしてるかな?

小さい頃は寂しかったけど
今は舷が居てくれるから
帰る場所ができたから
ちっとも寂しくない。

何時か何処かで
お母さんに会えたら
沢山話が
したいと思いながら目を閉じた。

『なんだ椛、眠いのか?』

目を閉じたといっても
眠いわけじゃない。

『うんうん、
ちょっと疲れただけ』

ただでさえ、学校が疲れるのに
帰り道で親父に拉致られて
体力的にも精神的にも疲れた。

明日は週末だから
頑張って学校に行こう。

ｸﾗｽに友人はいなけど
それも寂しくない。

『眠くなったら寝ていいからな』

＊＊翌日＊＊

私は舷の声で起きた。

『椛、起きないと遅刻するぞ』

何時ﾍﾞｯﾄに入ったんだろう?

確か昨日はｿﾌｧｰで
舷に寄り掛かりながら
話してて……

まぁいっか。

『今行く』

寝室から返事をした。

この幸せが続きますように……