大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
・・・そんな顔で私を見ないで。

切なげな、何かを訴えているよな目。

・・・まるで別れを、今にも告げられそうで。

私は視線を泳がせた。


「…羽菜」

「…なんですか?・・・こんな時間に」

冷たい言い方しかできなくて。自己嫌悪に陥る。


「…話しをさせてくれるか?」

「…私は何もありません」

博さんの声を聞いただけで、涙が出そうになる。


…本当は、今すぐにでも博さんに抱きつきたい。

ギュッと抱きしめられて、安心したい。

…耳元で、愛してるって囁いてもらいたい。


「…さっき、現場で見たことが、羽菜の誤解でも?」

「・・・・」

博さんの言葉に、思わず顔を見上げた。

・・・何が誤解だって言うの?

博さんは、あの綺麗な人と、抱き合ってたじゃない。

…そう言う関係なんでしょう?


「オレが好きなのは、彼女じゃない。

オレが心から愛してるのは、羽菜…君だけだ」


「…そんなの嘘よ。…だって、抱き合ってたもの」

その言葉を信じたい。・・・でも。

好き過ぎて、どこか信じきれなくて。
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