大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
8.博さんの現場の施主は・・・
…それから数日後の週末。

久しぶりにお休みが取れた博さんと、2人で引っ越しをした。

2人の生活場所は、博さんが住むアパート。


私の部屋は一人暮らしの間取りで、1K。

2人で暮らすには、あまりに狭すぎる。

2人で住むんだから、新しい場所をって博さんは言ったけど、

私はそれを拒否した。

博さんのアパートは、2DKで十分な広さ。

それに新たな物件を探して互いに引っ越すとなると何かと不経済。


だから、私が博さんのアパートに引っ越すことで、丸く収まった。


「・・・ホントにいいのか?こんなボロアパートで」

引っ越しを済ませ、お茶を飲みながら、博さんが呟いた。


「いいんです。博さんの匂いがするこの部屋がいいんです。

博さんの帰りが遅くても、安心していられるし・・・」

…それも考えていた事だった。

…寝に帰ってくるだけのアパート。

だから、博さんの物は、必要最低限。

あまり物がなかった。でも、どれも、センスのいいものばかりで、

私はとても気に入っている。


「…すみません、私のモノで、一杯になりましたね」

そう言って苦笑いすると、博さんは手で来い来いとするので近寄ると、

ギュッと抱きしめられた。
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