大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
「もしもし」

『博さんかい?・・・あの事、羽菜ちゃんに言ってくれたかい?』


電話の相手は、今やっている現場の施主。

「…すみません、現場には来てもらうように言ってあるんですが、

まだその事は言ってません」


オレの言葉に、施主は溜息をついた。


『…しょうがないねぇ。・・・それじゃあ、来たら連絡くれるかい?

詳しい話は私からするから』


「…そうですね、オレから言うより、そちらから言ってくださる方が、

羽菜も聞き入れやすいかもしれません」


『全く、肝っ玉の小さい男だね。腕が良くていい仕事をするのに』

「・・・はぁ」

困った返事をすると、施主はクスクスと笑って・・・


『それじゃあ、また後でね』

「はい、また後ほど」

…ピ。

携帯を切って、また溜息をつく。

施主が言い出した事とは言え、悪い話ではない。

だが、羽菜の気持ちは・・・・。

「博さん、今のって施主さんですか?彼女さんの事、知ってるみたいですね」
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