大工さんに恋していいですか?おまけ追加中

羽菜side

外回りを済ませ、一旦会社に戻った私は、

今日の事をパソコンにまとめ、一日の仕事を終えた。


『仕事が終わったら、現場に来てほしい』

博さんの言葉を思い出す。

・・・何で現場なのか?仕事が終われば、

同じ家に帰るのに。家で話すわけにはいかないのか?


期待と不安が入り混じる中、私は電車で最寄駅に向かい、

現場へと足を進めた。


…現場に着いたのは午後8時。


「博さん、遅れてすみません、仕事が長引いて」

そう言って博さんの元に行く。


「あぁ、羽菜。・・・いいんだ、急ぎの用じゃないから」

手を止めた博さんは一旦私から離れ、どこかに電話をして戻ってきた。


「ここで話なんて一体何なんですか?」

首を傾げる私に、博さんは困ったように微笑んだ。


「この家の施主さんの話しなんだけど」

「・・施主さんですか?」

「あぁ」

…この家はとても気に入っていたが、この家の持ち主を私は知らない。

その人と私、何の関係があると言うのか?
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