大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
「…ゴメン、こんな物しかできなくて」

そう言って苦笑いする博さん。

食卓に並べられた料理は、ご飯とみそ汁。

焼き魚と、冷奴。

…十分な料理だと私は思う。


「そんな事無いですよ?和風な食事、いいじゃないですか」

そんな私の言葉に、博さんは首を振る。


「さっきの料理、続きをしようと思ったんだけどな?

…なんせ、料理のレパートリーなんて、ないに等しいから。

こんな物しか作れなかった」

そう言ってシュンとなる博さんに、私は思わず笑みがこぼれる。


・・・仕事の時には見せない顔に。

…私の前でしか見せないであろうその顔が、

あまりにも愛おしくて。


「・・・何が可笑しい?」

「博さんは、なんでも完璧に出来る人じゃないですか。

仕事だって、出来るし。人には信頼されるし・・・

一つくらい、出来ない事があったっていいんですよ?

その一つくらい、私に勝たせてください。

あの料理は、明日、私がちゃんと作りますから」


そう言って微笑むと、やっと納得したのか、

博さんの顔に、笑みが戻った。
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