大工さんに恋していいですか?おまけ追加中

博之side

そんな穏やかな日々の中、オレは仕事に励み、

羽菜も仕事に集中していた。

上棟が済むまで、羽菜には寂しい思いをさせたが、

羽菜はちっともそんな顔を見せなかった。


「博さんとこうやって一緒に眠れるだけでいいんです。

博さんに一晩包まれただけで、また次の一日も、頑張れますから」

そう言って羽菜は微笑んだ。


…あぁ、オレは、この笑顔を一生守らなければならない。

羽菜に悲しい涙など、一度だって流させやしないと思った。



・・・そして迎えた、羽菜の実家に行く日。

オレはスーツを着て、ネクタイを締めた。


「そんなに改まらなくてもいいんですよ?

前にも言った通り、のんびりした親ですから」


「ダメだよ、挨拶行くのに、ラフな格好は・・・

第一、今日は結婚の報告に行くんだから、尚更だ」

オレの言葉に納得した羽菜は、普段乗りの車の助手席に乗り込んだ。


「家まで、私は運転しましょうか?」

「…この大きな車、運転できるのか?」

「…へへ…運転した事ないです」

羽菜の答えに、声をあげて笑った。


「ナビしてくれれば十分だよ。

住所を聞いた限りじゃ、その辺にも、仕事に行った事があるから、

大体の道は分かるしな」


「…助かります」
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