大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
「それじゃあ行くか」

博さんの言葉に頷くと、実家に向かって車を発進させた。

・・・そして実家の前。

純和風な、とてもセンスのいい家に、思わずため息が出る。


「素敵な家ですね」

「そうだろ?オレも気に入ってるんだ・・・

親父が手掛けた最高のモノばかり使った家だからな」


「こんな家に住める、お父さんやお母さんが羨ましいです。

…博さん、どうかしましたか?」


一瞬、博さんの顔が悲しげに見えた。

「イヤ…どうもしない。中入るけどいいか?」

「はい」

笑顔で返事をすれば、博さんも優しく微笑み、玄関チャイムを鳴らした。


「ただいま」

「お帰り、博之」

「・・・・」

博さんの言ってた意味がようやく理解できた。

確かに、見た目はコワモテな顔だ。

おかげで言葉を失う。


「君が、羽菜さん、かな?」

そう言って微笑んでくれたお父さんに、固くなった心が、

ほぐされた。

微笑むと、少しタレ目になって、可愛い顔になるから。
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