大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
「羽菜」

「なんですか?」

抱きついたまま顔だけを上に向ける。

博さんは、毅然とした態度で、私に言った。


「羽菜の意見は十分に尊重するよ。

でもただ一つ。お願いがあるんだ」


「・・・?」

あまりにも真剣な博さんに、抱きつくのを止め、

博さんを真っ直ぐに見つめた。


「確かにこの家は、洋風な素敵な家だ。

オレもこの家に住める事を嬉しく思うよ。でもな・・・。

耐震診断をさせてもらいたいんだ」


「耐震診断・・・ですか?」

「あぁ、この家は、もう築60年近くなる。

あちこち傷みもあるし、この先大事な羽菜といつか生まれてくる我が子の、

命を保障する為にするんだ。もし診断で思わしくない結果か出れば、

耐震する為に、この家を、大部分を壊し、補強する」


「…でも、そんな事をしたら、今までの家じゃなくなりますよね」

急に不安になってきた私は、博さんをジッと見つめる。

・・・でも博さんはとても優しい眼差しで私を見つめ返した。

大丈夫、そう言い聞かせるように。
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