大工さんに恋していいですか?おまけ追加中

博之side

…家に帰っても、電気は点いていない。

部屋に入って行っても、羽菜が出迎えてくれる事もない。


…当たり前じゃないか。


羽菜を突き放したのはこのオレなのだから。

…あの状況での行動が果たして合っていたのか、

今のオレには分からない。


でも一つ気づいたのは、

羽菜がいなくなってぽっかり心に穴が開いてしまった事だった。

…羽菜と離れても、今の現場を止めるわけにはいかなかった。

羽菜と思い描いた家のリフォーム。

止める事も可能だった…しかし、それをする事は出来なかった。


家が出来たら、羽菜と暮らせるかもしれないと、

どこかで思っているからなのかもしれない。


…今日もまた、心には穴が開いたまま、

あの現場に足を運ぶ。


「博さん」

「・・・なんだ?」


「羽菜さんとはどうなったんですか?」

「…別れた・・・その言葉が一番妥当なのかな」

手は仕事をしながら、呟くように言った。
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