大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
「博さん!!」

もう一度叫んだ私は、ソファーから飛び起きた。


・・・あれ?

目の前には、泣きべそかいた華が、博さんの腕に抱かれ、

私を見て驚いている。


「…どうした、羽菜?」

そう言って私の所まで早足で来た博さん。

私はギュッと博さんに抱きついた。


「私を一人にしないでください」

「・・・・」


「せっかくの結婚記念日なのに、私を一人にしないで」

華に負けないくらい泣きべそかいた顔で、博さんを見上げる。


・・・さっきのような、冷たい眼差しではなかった。


「…怖い夢でも見た?」

その言葉に、小さく頷いた。


それを見た博さんは小さく溜息をついて、困ったように笑った。


「結婚記念日だって言うのに、帰りが遅くなったせいだな。

ゴメンな…羽菜・・・

お詫びって言うんじゃないけど、これ・・・」


「・・・これ」

目の前に出された木箱。

バラの装飾が施された手作りの箱だった。
< 231 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop