大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
大方食べ終わったところで、美鈴は本題に入った。

「…思ったより、ショックは大きくないのね?」

「…エ?」

首を傾げる私を、美鈴は真っ直ぐに見つめこういった。


「失恋、したんでしょ?」

「う、ん」

「奥さんか、彼女でもいた?」

「…本人に聞いたわけじゃないんだけど、

右手の薬指に、指輪してた・・・」


「・・・そっか。…でも、左手じゃなくてよかったじゃない。

まだ結婚してるわけじゃなさそうだし、諦めるのは早くない?」


「幸せな博さんの邪魔者にはなりたくないから、

奪うなんてことするつもりはないの…でもね、この気持ちは止められない。

片思いでもいいから、遠くから見てるだけでもいいから、

好きでいるって決めたの」


「・・・それでいいの?」

…私は箸をおいて、美鈴を見つめた。


「うん、決めた事だから」

「…でも、彼女がいるんだったら、そんな物、くれるかしら?」

そう言った美鈴は、私の髪に付いている髪留めを指差した。


「・・・わからない、…でも、泣けちゃうほど嬉しかった」
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