大工さんに恋していいですか?おまけ追加中

博之side

午後から、スーツに着替えたオレは、

親会社の水鳥工務店に、足を進めた。

新たなお客様の初対面の時は、スーツで会う事が約束事だった。

個人の会社とはいえ、自分で仕事を取ってくるのは至難の業で、

こうやって、工務店に籍を置き、仕事を貰っているのもまた事実。


設計士の図面を基に、お客様とどんな家にしていきたいか、

色んな話をしていく。まだ走り始めたばかり、お客様にとって家は、

一生に一度の大きな買い物だ。だから、お客様がどんな家にしたいのか、

しっかり聞いて行かねばならない。


・・・話が終わったのは、午後6時30分。

話し合いが長引くのは日常茶飯事。

それは仕方のない事だが、現場に置いてる祐司の事が気がかりで、

オレは終わり次第すぐに現場へと急いだ。

仕事内容は、祐司が出来るような事ばかりを任せていたとはいえ、

棟梁のオレが居なければ、やはり、まだまだ一人で任せられる奴じゃない。


車を走らせる事40分。

工務店から、現場まで、夕方のせいもあって、渋滞に遭い、

到着するのが遅れた。


「悪かったな、仕事はできたのか?」

「あ、博さん。言われた仕事はすべて終わらせました。今は片付け中です。

確認を、お願いします」

祐司の言葉に頷いた。
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