大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
…午後10時。

オレは、ドアの前にいた。

遅い時間だと、躊躇ったが、そんな事を言っている場合じゃないと思った。


…インターホンを鳴らすと、

数秒後、彼女は現れた。

・・・目を真っ赤にして、オレを見上げた彼女は、

目を見開いていた。


「こんな時間にゴメンな」

「・・・どうして」

その言葉を最後まで聞かず、オレは彼女をギュッと抱きしめた。


「…博さん」

「不安な思い、させたよな」

「・・・」

彼女の返事はない。その代わり、彼女の目には、涙が溜まり、

次々に流れていく。


「これから話す事、しっかり聞いてくれよ。

全部話すから、聞きたくないとか言わないでちゃんと」

その言葉に、涙ながらに頷いた…羽菜。


オレは少しだけ溜息をつき、今までの経緯を話しはじめた。

・・・仕事でトラブッタこと。

…多田さんとその対応にあたっていた事。

…電話が切れる前に、多田さんに抱きつかれた事。

・・・そして、多田さんに告白された事。
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