大工さんに恋していいですか?おまけ追加中

羽菜side

たった5件だけの訪問のはずだったのに、

時間がかかってしまい、気が付けばもう、午後6時になろうとしていた。

「…でも、お客様喜んでくれたから」

・・・ま、いいか。


私はこの仕事嫌いじゃない。

お客様の相談にのりながら、それにどれだけ応えられるか、

『吉田さんの対応は、親切で丁寧』

そう言われる事も度々ある。…おかげで、成績も、上の方をキープ。


「さて、帰ろう」

一人呟き、駅に向かって歩き出す。

・・・あ。

ふと思い立ち、駅に行くには、遠回りになる事は分かっていて、

でも、どうしても、そこに立ち寄りたくて、私は足を進めた。

…心なしか早い足取りで。


…いるかな?…いないかな?

ドキドキしながら、歩いていくと・・・。


・・・まだいた。


…自然と、笑みがこぼれた。

若い男の子と一緒に、まだ仕事をしている大工さんがいた。


「博さん、この仕上げ、これでいいですか?」


…博さん?
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