大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
そこへ、電気工事の業者が入ってきて、

何やら博さんと打ち合わせをしている。

「電気屋さん、こっちも急ぎなんですよ。

そろそろ気合い入れて頑張ってもらわないと、先にどんどん

進んじゃいますよ?この家の施主さんも、納期までに仕上がるのか

心配してるんでね?」


棟梁である博さんの言葉に、電気屋さんはペコペコ頭を下げていた。


…博さんは頑張っている。

浮気なんてしてるわけがない。

そう確信できて、私はなんだか博さんに申し訳なくなって、

その場をサッサと離れる事にした。


「あ、博さんの彼女さん」

「…祐司君」

…見つかることなく帰ろうとしたのに、祐司君は気づいてしまった。

私はぺこっと頭だけ下げて、行こうとした。


「博さんに用事ですか?」

「ううん、違うの。今からお客様の所に行くの。たまたま通りがかっただけ。

私の事は気にしないで、お仕事頑張ってね?」


「はい、それじゃあ」

手を振った私の視線の向こうに、博さんが映った。

・・・その顔は、なんだか怒っているようで。

…私がここにいるのが気に入らないのか?

そう思うと、ズキッと胸が痛んで、私は博さんの目から逃れるように、

その場を後にした。
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