私が髪を切った訳
明るくなった室内に、ますます気が滅入った。
わたしは、書き終わってからもうだいぶ経つ、冷たい日誌をパタンと閉じた。
「いえ」
「ああ、日直」
「はい」
力なく笑って立ち上がる。
帰り支度を整えていると、いきなり指先が萎えて、マフラーを掴み損ねた。
怪訝そうに先生がわたしを見つめる。
「だいじょうぶか?」
「なんでもないです」
挨拶の代わりに頭を下げ、わたしはその場を立ち去ろうとした。
「なんかいやなことでもあったか?」
あっさり見抜かれ、わたしは反射的に立ちすくんだ。
声が出ない。