ドキドキ
不機嫌な俺に気づいた葵。

不安そうな顔に変わる。


「イヤ・・じゃないけど・・・」

「じゃ、なんで?」

俺、何言い出すの・・・

葵、泣きそうなんだけど・・・


葵の目にはどんどん涙がたまってく。

何も言わない葵。


「なんで泣くんだよ。言ってくんなきゃわかんねー」


はぁ・・・・自分がイヤになる・・・

もっと優しい言葉かけれるようになれねーのかな・・


「ごめんなさっ・・あの・・・・」


ついに葵の目から涙がこぼれた。


やっちまった・・・


別に泣かせるつもりなかったのに・・・


「ごめん・・・言い方きつかった・・」


頼ってほしいんだって、男って。

送っていきたいんだって。

そんな遠慮、必要ないんだって・・・・


でも、葵は遠慮しただけなんだよな?


ほんと、ごめん・・・


葵が落ち着くまで待つ。


人通りの少ない広場へ行く。


「あのっ・・」

泣きやんだ葵が赤い目で俺を見上げる。

「違うのっ・・あの・・・」

必死な目で俺を見る。

「ごめん、わかってる。気ぃ使ってくれたんだろ?」

何か言い出そうとした葵の言葉を止めて言う。

「でも、そんな事、考えなくていいから。俺、葵の彼氏でしょ?」

びっくりしたような、丸い目。

その後、みるみる赤くなる。

「う、ん」

「彼氏なら、彼女送っていくの当たり前だし・・・」

「・・・・・ん・・・」

「俺が送っていきたいって思ったんだけど?」


目を丸くした後、


はにかんだ笑顔。


やばい、マジでかわいいし・・・


キス・・・したいんだけど・・・


早すぎるよな・・・


手もつないでないし・・・・・


グッと我慢して、葵の頭を撫でる。


「帰ろ?送ってく。」


手を差し出す。


俺の手と、俺の顔を交互に見て、躊躇する葵。


その手をグッと握った。


恥ずかしがり屋なんだよな?


手、つなぐのがイヤじゃなくて、恥ずかしいだけだよな?


俺、うぬぼれちゃうよ?
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