ドキドキ
手をつないで葵の家まで歩く。

小さい手。

赤いままの顔。

視線を感じた葵が

俺を見上げる。

「あ、あのね・・」

「ん?」

「毎日、見に行ってもいい?」

「何を?」

「体育館。」

「あぁ、いいよ。」

てか見に来てもらいたいし・・・

「じゃ、毎日一緒に帰ろうな。」

そう言うと。

「え?そんなの大変だよっ」

また、遠慮しだす。

「さっきも言ったじゃん、俺が送りたいんだけど?」

黙る葵。

「大変じゃん・・」

まだ言うか・・・

ま、それが葵なんだろうな。

「一緒に居たくない?」

俺の問いかけに、びっくりしたように首を大きく横にブンブン振る。

いや、目回りそうだから・・・

「そんなことないよっ」

「じゃ、いいじゃん。俺んちまでここから一駅だし。そんなに遠くないよ?」

「ほ、ホントに・・?」

「嘘ついてどーすんの」

「はい・・・・」


やっと納得してくれた?

なんか俺、ふりまわされてる・・・?


「ここ。」

小さな家の前に付いた。

「ここ?」

「うん。」

その家には電気が付いてない。

もう、夕飯時の7時。

「家族は?」

「うち、お母さん、居ないから。」

え・・・・?


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