ドキドキ
俺、まずいこと聞いた?

「お父さん、単身赴任中だし。」

「え・・・・?兄弟は?」

「私、一人っ子」


ということは・・・・・


「1人で住んでんの?」

「うん。」


マジで・・・?

スゲー、尊敬するんですけど。

「寂しくない?」

「ん、平気。慣れたよ。」

そう言う葵はなんだか寂しそうで・・・

「ごめん、へんなこと聞いて・・・」

「あ、平気!大丈夫だよ!お母さん死んじゃったの私が小さいときだし」

手を前で振る。


「あ、上がってく・・・・?」

小さな声で言う葵・・・

え・・・・・?

固まって言葉が出ない。


いや、やばいだろ。


付き合ってその日に家に上がるとか・・・

俺だって健康体な高校生だしさ。

女の子と付き合ったら、そういうことも出来るって考えるじゃん?


いや、でも、葵はそんなつもりで言ったんじゃない、よな・・?

「あ、いや、今日はやめとくよ。又今度な。」

そう言う俺に笑顔で。

「うん、今度来てね。晩御飯作るよ!」

そう言った。


うん。やっぱり葵の頭にはそんな発想はないのか・・・

ある意味、安心したような、

ちょっとがっかりしたような、

複雑。


「じゃ、また明日な」

そう言って帰ろうとする俺に

「あっあのっ」

焦ったような声が聞こえた。



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