コーラとポップコーン


「すみません!」


そう声を掛けて注文をする。


注文を聞いてレジを打つバイトだろう女の子はまた手際が悪くてレジ打ちが遅い。


いつもなら、そんな事気にならないが今だけは酷く苛立つ。


「お待たせしました」という声と共にやっとこさ出てきたコーラを手に取ると、直ぐ様劇場へと駆け出した。


劇場内へと足を踏み入れると走るのを止めて、早歩きへと変え自分の席番号を探す。


スクリーンには既にコマーシャルが写し出されている。



こんな、ギリギリ始めてだ。



自分の席を見付けると、その席へと腰を屈めて進み、席に着いた。


見張らし抜群の真ん中の席。


左隣は空きの様で、右隣には男性が座っている。


持っていた物を椅子の備え付けの場所に置くとスクリーンへと目を向けた。


劇場内での注意を促すCMか流れているという事は、もう始まる直前だ。


そう思っていると、バンッと一気に暗くなる場内。


映画の始まりだ。



始まりから一気に内容に引き込まれる私は、もうその場に居合わせている様な雰囲気に陥る。


その感覚を少し振り払う様に右手を伸ばして指先に当たるポップコーンを一粒摘まむ。


口へと運べば、口の中に広がるキャラメル味。


やっぱり、映画を観ながら食べたくなるのはこのキャラメル味のポップコーンだ。


ポップコーンを食べた後に、コーラを飲む。


甘さに覆い被さるシュワシュワッとした炭酸が喉を潤す。



極上の映画にコーラとポップコーン。


上映時間ギリギリだったけど、今の所は良い一日だ。


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