1000の雫
「あ、きたきた」
「翠ーおまたせー。帰ろうっ」
親友の香子は私とは正反対の長い髪をなびかせて
さほど悪びれた感じもなく手をひらひらさせて向かってきた。
「ったく、何忘れたの?」
「え?これこれー」
「あぁ!それね」
ごそごそとカバンから出したものは人気のぬぬる先輩やらなにやらの写真の束がでてきた。
「教室に置いてるととられる可能性あるでしょ?そーしたら私の商売あがったりよねー」
「…よくやってるわねー、そのサービス」
フォトクラブに入ってる香子に好きな人の写真をお願いする生徒がおおく、よくお願いされる場面をよくみているから翠は大変さを理解していた。
「んーまぁ…お得意様がいらっしゃるのでね、他はそのついでかな?」
「ふーん」
そのお得意様からだいぶ報酬をもらっているらしく、
他の生徒からはタダ同然で写真を渡しているらしい。
少し気が強いがなんだかんだで優しいのは昔から変わらないなぁと隣で枚数数えながら歩く友人をみてしみじみとおもっていた。
「そういえば、あんた今日部活早かったのねー」
「そうそう、だから今日は私が晩ごはんつくる番なんだよねー」
「そうなんだ、ハンバーグだったら呼んでよね」
「…カレーにしとこ」
「じゃあ、8時頃あんたの家に行くから」
「結局くるんかい!」
「徒歩2分でつくぐらい近いんだらいいじゃない、あっ隣のやつ誘ってくるから」
「あー…葵?別に連れて来なくてもいいでしょー、
しかも部活終わりで埃まみれになってそうだし」
「んだよーちゃんと風呂はいってからくるよ!」
「げ、葵」
後ろにいつのまにやらいた葵がいた。
やはりサッカー部のため砂ぼこりになっていたのだが、
「あんた、制服に着替えてからかえりなさいよ、せめて」
「まぁまぁ翠、急いでたのよきっと、
まぁー理由はどうせ…」
「うーわー!!!」
「?うるさいわね」
「んだとー!」
わいわいしながらこうしていつもと変わらない帰り道だった。
たったひとつの違和感だけのこしては。