あの日、あの時、あの場所で
「……アキラくん、今なんて…?」
逃げるのを止め、その場で立ち止まって
驚きで軽く目を見開きながら
私はアキラくんの方に振り向いた。
咄嗟に言ってしまったのだろう、アキラくんはハッと我にかえるとそっぽを向いてしまった。
密かに耳を赤らめながら…。
もう一度問いかけようと
口を開くと
アキラくんは私に視線を向ける。
交わる視線に、私は目をそらせなかった。
「……。
岡田の見舞品で苺買ってきたんだ。食べる?」
アキラくんは私の目をしっかりと見ながら、凛とした声で言った。