あの日、あの時、あの場所で
そんな私の心情をアキラくんは察したのか、
戸惑いの隠せない私にニコッと笑って更に私の手をギュッと握ってくれた。
「ア…アキラくん!?」
「大丈夫、俺は気にしないからさ。苺の手が手汗でベタベタでも、俺の手はカサカサの乾燥肌だから…
これでおあいこだろ?」
ッ、アキラくん……
思わず心臓が高鳴ってしまった。
私、本当にアキラくんのことが好きなんだ…。
「…ありがとう、今度ハンドクリーム買ってあげるね♪」
満面の笑みを浮かばせながら
私はアキラくんに寄り添う。
その私の行動にアキラくんも
幸せそうに表情を緩めてくれた。
…でもこの時
私は気付かなかったんだ、
幸福な一時と言うのは、
一瞬にして打ち壊されるものだというのを…。