あの日、あの時、あの場所で
私の脳からはアドレナリンが出ているのか顔が青白くなっている。
そんな私を宥めるように蓮次郎は口を開いた。
「苺、落ち着け。今のお前は取り乱してまともな考えが出来ていない。ここは一旦冷静になろう」
事の発端は誰が起こしたんだ、と初歩的な発言すら
今は誰も口にするものはいない。
――先ず崖から離れ地面に向かい合う形で座った。
苺は青ざめたまま、両手で顔をおおった。
「…で苺、お前はアキラと俺のどっちを取るんだ?」
「え?まずそこから?お前が崖から落としたモモの安否は良いのかよ?」
「きなこパン食べてる姿見られた…豪快に食べている姿を見られちゃった…。」
冷静になろうとしても
話がなかなか噛み合わない。
それほど皆混乱しているのだ。