あの日、あの時、あの場所で
その時苺は不意にゾクリと背後に悪寒を感じた。
冷たい筈のそれは、それでいて
べったりと苺の体にまとわり付いてくる。
ヒタリ
ヒタリ
ヒタリ
水の滴る音が徐々に近づいてくる。
アキラと蓮次郎もそれに気付いたらしく、海の方へと目をやった。
ズルリ
海から崖を自力ではい登ってきたモモが
濡れた長い髪の間からニタリと笑った。
「許さないわ苺…アタシを差し置いて幸せになるだなんて…」