恋の相手は小指サイズの俺様王子!?
そう思っていると、「羨ましいなぁ」と、左肩から白堵が言った。


「なにが羨ましいのよ」


あたしは落ち込んでいるっていうのに。


少しムッとして白堵を見る。


「だって、僕たちは誰かに迷惑をかけるってこと、ほとんどないもん」


「そうだよなぁ……俺たち、存在自体見えてねぇからな」


そう言って、美影は自嘲気味に笑った。


「店内で遊んでいても、人間にいつ踏まれるかわからない。


でも、踏んだ方は僕たちに気が付かないで、『足元に何かあったかな?』っていう程度なんだよ。そのくらいの、存在なんだ」



白堵の切なげな声に、一瞬胸を締め付けられる。
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