恋の相手は小指サイズの俺様王子!?
「そうですよねぇ、ありがとうございますぅ」


なんて言いながらも、こっちは見ずに鏡の前で口紅を塗っている。


今日休んだのだって、きっとわざとだ。


自分が売り場換えをやりたくないから、あたしに押し付けたんだ。


そうわかっているけれど、あたしはそれ以上何も言わなかった。


この子はバイトを始めたころからずっとこの調子で、誰が何を言っても効果がなかった。


だから、もうみんな諦めているんだ。


「じゃぁ、あたし帰るから」


「お疲れ様でしたぁ」
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