縁の桜
ドーーーン!!

先ほどより一層、大きな音が響いた。

一回り大きな白い牡丹の花が漆黒に浮かび上がった。八方に伸びた光が一斉に降ってくる。

薄紅に色を変えながら枝垂れるように───。


藍、観てるか?俺の花火


藍は、ふと龍斗の声を聞いたような気がした。

燻りながら人形を焦がし火は次第次第に大きくなっていく。


火付けは死罪。
ここをうまく逃げ仰せても見つけ出されて殺される。
徳川の手にかかり命を落とすくらいなら、このまま燃え盛る炎と共に朽ちたほうがずっといい。


──そう思った。

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