縁の桜
漆黒を明々と照し、花火が次々に空を飾る。

爆音とともに歓声が大川に響いた。
その中を 一際派手な装飾を施した豪華な御座船が、ゆっくりと進む。

藍は御座船の船尾に座り、徳川家茂のからくり人形を操る。

大川の川開きを観覧している大勢の視線──。
藍は、気付かれないように細心の注意を払い、家茂の人形に優雅に手を振らせる。


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