縁の桜
「これほど緻密に人形を操る技ならば、余にそっくりなからくり人形を作り操ることもできるであろうな?」と。


家茂一行が城へ戻った後、暫くして里より書状を受け取った家茂の家臣は数名の家臣と共に再び、人形使いの里を訪れた。


村主より早々に家茂そっくりの人形を見せられた家臣らは、そのあまりの出来に燦々たる賛辞を並べ褒美を鱈腹与えたという。


が、その数日後。
里は火攻めの襲撃に遭い、無惨に里の一族徒労まで悉く惨殺されたあげく里の全てが焼き尽くされ滅亡した。


ただ、不思議なことに家茂そっくりの人形と村主の娘の残骸は布切れ1枚、骨1欠片も見付からなかったという。



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