鳥籠の死神
とどめた時間。



死神は少しずつ掻き消され。



その時。



「どうしてだ!?約束しただろう、必ず森へ帰してやるって……」



騎士の青年だけがなぜか動いていたのです。



「……騎士か。おまえの言葉、本当に嬉しかった。初めて、この世界で好きだと思えた人間だ」

「そんな事聞いてない!どうして……」

「…………生きて、みせてくれ。この世界が間違いでないと――素晴らしい世界だと」

「死神……」



はじめてみる死神の哀しい笑顔でした。



ほんとうはもっと、この世界で生きていたかったはずなのに。でもそれはもう叶わないと知っている。




騎士の青年はたえきれずに泣きました。涙をぬぐおうともせずに。


くやしくて。


くやしくて。


胸がはりさけそうでした。


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