Salty blood
終わりの一夜
『今日も綺麗だ…。』

病院の屋上で1人、呟きながら空を仰ぐ。

満天の星空…にはほど遠いけど、月ない、星だけがまばらに瞬く空。

彼女を初めて見たのもこんな星空の夜だった気がする…。


ふと、そう思いながら呟いた。


『君に、会いたい…。』

『…誰に…?』

一瞬の間…
囁くような…透けるような声が聞こえた。

…彼女だ。

僕はきょろきょろと辺りを見回した。

けど、何処にも彼女の姿は見当たらない。
< 1 / 16 >

この作品をシェア

pagetop