Salty blood
『僕の全てを飲み干して欲しい…。』

そう言った瞬間、頬に温かい何かが伝った。

彼女はそれを拭いながら、少し嬉しそうに僕に問いかけた。

『悲しいの…?』

『嬉しいんだ…。やっと声が聞けた。やっと…触れることができた…。』

彼女の指に触れながら僕は笑顔で答えた。

そんな僕を見つめながら君はフフっと微笑んだ。

『あなたって不思議な人ね。』

僕は不思議なんかじゃない。君の方が…っと言おうとしたけどやめた。

『じゃあ…あなたのすべてをいただくわ。』
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