生きる為に必要な三つのこと
「いってきます!」

「はいはい、いってらっしゃい。」


何処か昭和を匂わせるドアをあけて、外に飛び出す。見事なまでの青天。



「やあ、待たせたね!」

「おい、倖子!テメェ、俺まで遅刻させる気かっつーの!」
 

家のすぐ前の道にママチャリを持って立っていたのは、素敵な彼氏様。
…なんて人ではなくて、幼馴染の柳田孝太(やなぎだこう)。通称、孝。
腐れ縁であり幼馴染の孝とは、つい先月で十七年を迎えた。
今、高校二年、17歳のあたし達だから、生まれてずっとの仲になる。
男と女の友情なんてない、そんな言葉を言った人に見せ付けてやりたい長さだ。
 

「だから、倖だっつってんでしょーが。はい、Please call me!」

「んな馬鹿な事やってる場合じゃねえんだよ!あと十分で遅刻だぞ!」

「……はあ?!嘘!だってあたしの腕時計は、まだあと二十分も…」

「倖が昨日、十分遅らせたんだろ!」

「ああああ!そうだった!は、はやく孝!ハコセンに怒られる!」
 
 
孝のママチャリの後ろに乗ったのと同時に、孝が自転車をこぎ出す。
ハコセンに怒られるのだけは、ごめんだ。ハコセンの声は学校中に響くから。
 
 
「いい、急いで孝!」

「っうっせ!じゃ、あ、テメーがこぎやがれっ…!」 
 
 


< 2 / 6 >

この作品をシェア

pagetop