先輩上司と秘密の部屋で
高校一年生の頃、嵐士はクラスの中で完全に孤立していた。
顔こそ整っているが、無口で無愛想な上に目つきも悪い。
今でこそ百八十近くある身長も当時は百六十を満たしておらず、誰からも見向きされていなかった。
そんな中ひとりだけ、嵐士に構う人物がいた。
それが小白川隼人だ。彼はは人当たりのいい美男子で、男女問わずクラスで一番の人気者にもかかわらず、事あるごとに嵐士の懐に介入してこようと画策した。
嵐士自身は隼人を真逆の人間と認識していたが、不思議と煩わしさを感じない。
しかし簡単に絆されることもなく、甘んじて受け入れる程度の姿勢を保っていたのだ。
だがそれからたった一年で、嵐士の身長は十五センチ以上も伸びた。
もともと顔立ちも端正だった嵐士の魅力に周りは魅了され、待遇が格段に良くなっていく。
嵐士はいつの間にか、隼人と肩を並べる程急激にモテるようになった。
しかし流されるままに付き合ってみても、長くは続かない。
付き合って早ければ一週間、長くとも一ヶ月で別れることを何度か繰り返しているうちに、すっかり女というものが面倒になってしまった。
相手は大抵嵐士の見た目ばかりに気を取られていて、中身はいつも二の次のように扱われる。
出会った頃から変わらぬ態度で接してくれるのは、ただひとりの男だけ。
嵐士は警戒心が強い分、ひとたび心を開けばどこまでも隼人を信用するようになっていた。