ラブソングは舞台の上で

「あ……そう。わかった」

自らそう言うのなら、無理にとは言わない。

私に対する誠意であると受け取ろう。

「他のヤツでも、部屋に入れたりしたらダメだからな。卓弥さんとかタカさんとか堤とか」

「大丈夫だよ。絶対入れたりしない」

晴海だから「上がってく?」と言えたのに。

他の男なんか、そう簡単に入れるわけがない。

無闇に送ってもらったりもしない。

今までだって、男は翔平しか入れたことがないし。

でも、晴海だから、入れてもいいと思った。

今日は本当に楽しかったから、もう少し一緒にいたいなって……思っただけなのに。

こんなの、晴海に恋をしているみたい。

「じゃあ、早く寝ろよ」

「うん。おやすみ」

「おやすみ」

晴海が手を振って、歩いていく後ろ姿が無性に名残惜しい。

待って。

狼になってもいいからうちに来て。

そんな風に思ったなんて、言えるわけがない。

だって晴海には下心がないからこそ、部屋に入らず帰ることを選んだのだ。




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