ラブソングは舞台の上で
12月26日。
稽古場の更衣室に入ると、謎のマダム3人組が私を待ち構えていた。
驚いてそこを出ようとすると、
「あなたが明日香ちゃんね。待ってたのよ」
と腕を引かれ、引きずり込まれた。
そして即座に扉が閉められ、外から開けられないようしっかり鍵までかけられる。
「じゃあさっそくだけど、脱いでもらいましょうか」
迫り来る3人のマダムたち。
老眼鏡がキラリと光る。
「えっ? 脱ぐって?」
私は恐る恐る声を出した。
すると彼女たちは、慣れた手つきで私の服を剥ぎ、不気味な笑みを浮かべて何かテープのようなものをシャッ!と引き出し、勢いよく私の腹部に巻き付けた。
「ギャーーー! 冷たい!」
私に巻き付いたのは、採寸用のメジャーだった。
このマダムたちは、劇団の衣装係だったのだ。
衣装の他にも小道具などを作ってくれている。
私は下の服をも脱がされて、下着姿で至る所を採寸された。
肩幅、バスト、ウエスト、ミドルヒップ、ヒップ、袖丈、背丈、総丈……。
この季節に暖房のない部屋で下着姿でじっとしているのは、とにかく辛かった。