ラブソングは舞台の上で
「そっか。俺、明日香のことすごく好きだったんだけど、恥ずかしくてほとんど言わなかったもんな。ごめん」
「私も言えなかったから、お互い様だけどね」
ただ、たぶん、翔平はそこまで言葉を求めていなかったのだろうけれど。
私は、町中でイチャイチャ愛を囁き合っているバカップルに白い視線を向けながら、幸せそうな彼らをうらやましいと思っていた。
照れるし恥ずかしいけれど、お互いを好きだと確認し合うことで得られる幸せが、私も欲しかった。
アパートまで、あと20メートル。
「じゃあ、次、俺な」
「うん」
「俺たち、やっぱりベストパートナーだと思うんだ」
「え?」
「性格とか、趣味とか、考え方とか、価値観とか。明日香以上にマッチした人はいないと思う」
アパートまで、あと10メートルを切った。
「本音を言い合うのが必要なら、これからそうする。照れるけど、好きってたくさん言うようにする。だから……」
アパート、到着。
翔平が入り口の前で足を止めたから、必然的に私の足も止まる。
「もう一度つ……」
「明日香?」