ラブソングは舞台の上で
「た、助かりました……」
「あはは、おばちゃんたち、話長いもんねー」
「うん。酔っ払っててずっと同じこと話してるから、どう返していいかわかんなくなっちゃって」
「今まで真面目に相手してたの? 今日は晴海ちゃん、守ってくれなかったんだー」
守るどころか、飲み会が始まって以来、こちらを見もしないですよ。
私は何度か話しかけようと試みたけれど、全く隙がなくて断念した。
盛り上がっている中に自分から入る勇気なんて、私にはない。
タイミングを窺っている間にマダムたちに捕まったわけだけれど、あれはもう、避けているとしか思えない隙のなさだった。
「ケンカでもしたの?」
ともちゃんは楽しそうに尋ねてくる。
好奇心で目がキラキラしている。
一体どんな話を期待しているのだろう。
「ケンカなんてしてないよ」
私が一人で勝手にムカついてるだけで。
「うーん、じゃあ倦怠期?」
「ないない。そもそも私たち、付き合ってないから」
「えー? 隠さなくたっていいってばー」
本当なんだけどな。