ラブソングは舞台の上で
「できないんだ。っていうか、しないんだ」
晴海はそう言うと、抵抗しない私の体を雑に起こした。
私のコートをやや乱暴に脱がし、その下のニットも剥ぐ。
上半身はキャミソールとブラだけだ。
暖房の効いていない部屋で腕とデコルテをさらけ出され、さすがに鳥肌が立つ。
それでも、私は黙って晴海に従うつもりだった。
「ここまでされて、嫌じゃないのかよ」
嫌じゃないよ。
晴海だもん。
だって……悔しいけど、認めざるを得ない。
晴海が好きだ。
「晴海、今日はなんかおかしい。ずっとおかしかった」
いつも二人のときは意地悪だけど、意地悪の方向性がいつもと違う。
「そうだな。俺、おかしいと自分でも思う」
「どうして?」
「さぁな」
「おととい男連れで帰ってきたから、怒ってるの?」
そう問うと、晴海は微かにビクッとした。
「うるさい。黙れ!」
再び掴まれた腕。
さっきよりずっと強い力だったけれど、視界いっぱいに迫ってきた彼の顔のせいで、痛みなど感じている余裕はなかった。
「はるっ……!」
私の言葉は晴海の唇に奪われてしまった。
反射的に目を閉じると、まつ毛が彼に触れた。
晴海の温かい手が私の腕を離れ、背中に回る。
私も無意識に肘を曲げ、彼の腰に手を添えた。