ラブソングは舞台の上で

「ん……」

晴海から力が加わって、私は後ろに倒れる形で再び枕に頭を置いた。

一呼吸置いて、もう一度キスをする。

このキスに私の意思が伴っていることがわかった晴海は、舌を差し、再び私の反応を窺う。

少し応えると、それじゃあ遠慮なくといったふうに激しさを増す。

晴海特有の香り、生肌の感触、酒気を帯びた吐息、二人の身体がシーツに擦れる音。

そして私の名を呼ぶ、晴海の掠れた声。

何もかもが私を女にしていく。

互いを探り合う初々しい攻防に、どんどん鼓動が強くなる。

私、きっとこのまま晴海とするんだ。

そう認識しただけで、胸の奥から感情が溢れて止まらななくなる。

「晴海っ……」

胸が張り詰めて息苦しい。

早く満たされて楽になりたい。

私は自分が思っていたよりずっと、晴海に恋い焦がれていたようだ。

ちゅ……と小気味よい音を立て、晴海の唇が私から離れる。

晴海が数秒間、目を閉じて苦しそうな顔をしたかと思ったら、直後、私の視界が何かに奪われた。

掛け布団だ。

「ほらみろ、だから飲むなって言ったんだ」

ミシッと横で音がして、体が軽くなる。

晴海はベッドを降りてしまった。

< 128 / 315 >

この作品をシェア

pagetop