ラブソングは舞台の上で
年が明けた。
元日、劇団エボリューションは午前11時集合だ。
予定表によると、今日は初詣および新年会。
神社近くの公園に集合と書かれている。
ご丁寧に、手描きの地図まである。
「明けましておめでとうございます」
「おめでとうございます」
「おめでとう、今年もよろしく」
「こちらこそよろしくね」
「おめでとうございます。お年玉ください」
「俺にたかるな。卓弥にしとけ」
「卓弥さんは海外に行きました」
各々新年の挨拶を交わしていると、晴海は時間に少し遅れてやってきた。
随分浮かない顔をしている。
「はよっす……。明けましておめでとうっす……」
目はうつろ。声はガラガラ。
顔色も悪い。
風邪でも引いたのだろうか。
そう思って様子を窺っていたが、目が合った途端に気まずい顔をして、すぐに逸らされてされてしまった。
晴海の登場に気分が高揚したけれど、早速地の底まで落とされる。
私にしたことを後悔しているのだろうか。
恋をしている相手とのキスを喜んでいた私は、密かに傷付いた。
「晴海、酒臭ぇな。既に飲んでるぞ、こいつ」
例によってタカさんが晴海をイジり始める。
「朝7時までバイト先のメンバーと飲んでたんす」
「お前バカだな。これから新年会だぞ」
「俺、死ぬかも……」