ラブソングは舞台の上で

オレンジジュースを一口飲む。

甘酸っぱくて、まるで恋の味だと思った。

もうイイ年した大人なのに、私は恋心を持て余している。

うまくやれない自分が情けなくてため息が出た。

「そんなに思い詰めなくて大丈夫だよ。タカさん、ちょっとお節介なんだ」

ともちゃんは笑ってくれるけれど、タカさんは正しい。

「ううん。何とかしなきゃって思ってたの」

私だって、今のままじゃ嫌だ。

とにかく一度、晴海とちゃんと話をしよう。

「明日香ちゃんはケンカじゃないって言ってたけど、何があったか聞いてもいい?」

「それが、私にもよくわからなくて。晴海、すっごく私に構うなって思ってたら、突然避けられるようになったんだよね」

「それって、どんなタイミング?」

「劇団の忘年会の時からだと思う」

「だったら、それより前に何か原因があったということだよね。確かにあの日の晴海ちゃん、おかしかった。たくちゃんが明日香ちゃんに構っても、何も言わなかったし」

「うん」

その前に会ったのは、会社の忘年会の日だ。

晴海に連絡せずに翔平に送ってもらって、家に着いたら、あいつが心配して来てくれていた。

これは私の勝手で都合のいい予想でしかないけれど、もしかしたら晴海がヘコんでるのって、私が他の男と二人で帰って来たから?

それで拗ねてしまった……とか?

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