ラブソングは舞台の上で
自信満々にそんなセリフが言えてしまう彼女が、心からうらやましい。
自分に不足はないという自信があるからこそ言えるセリフだ。
ただ、その自信過剰な態度と自己中心的な訴えは、もはや他の団員を困らせるだけである。
晴海はうんざりしたように軽くため息をついた。
「お前は本当に可愛いと思うよ。ちょっと気が強くて生意気でわがままだけど、人懐っこいし顔もキレイだ。頭もいい。実はマジメで努力家。将来はイイ女になるだろうなって思う」
めいっぱい褒められたにもかかわらず、恵里佳ちゃんは不満そうな声を出した。
「……子供扱いしないでよ」
「俺の意図がそこまでわかったなら、自分に何が足りてなかったかもわかるだろ」
「あたしはまだ子供だって言いたいの?」
「子供だよ」
恵里佳ちゃんは必死に食い下がる。
「もう18だもん! バカにしないで」
「年じゃなくて人間性の話だよ。そもそも自力で稼いだ経験もない苦労知らずの甘ちゃん高校生が、毎日命賭けて働いてる大人と対等に張り合えるわけがないだろう」
「そんなっ……」
彼女がたじろいだこのタイミングで、晴海は冷たい表情でとどめを刺した。
「お前にはまだ、ヒロインを演じられるだけの人間性が備わっていないんだよ」