ラブソングは舞台の上で
この夜、私が自宅に戻れたのは0時過ぎだった。
あの後、彼らに見つかることはなかったが、結局彼らが帰るまで公園を出る方法を見出せなかった。
約1時間半、私は遊具の裏で冷たい風に吹かれながら、ひたすらかじかむ手をすりあわせていた。
手足は冷えるしお腹は空くし、ヒマだし怖いし、とにかく寒いし。
もう二度と夜中に一人で公園なんか行かないと誓う。
明日も仕事だ、早く寝なければ。
私は時間短縮のため、風呂を熱めのシャワーで済ませ、食事も冷蔵庫の中のヨーグルトで腹を埋めるにとどめて眠りについた。
そして翌朝。
目が覚めると起き上がれないというオチである。
当然の結果だが、風邪を引いたのだ。
何年か前に翔平が買ってきてくれた体温計を使ってみる。
『39.4℃』
もう何から何まで最悪だ。
工場長と詩帆さんに、体温計の画像を添付したメールを作成。
『すみません、熱を出してしまいました。本日は休ませていただいてよろしいでしょうか』
すぐに『お大事に』と返信を受け、その返信でお願いしたい業務の引き継ぎをする。
熱に浮かされているからか、後で本文を読み直すと誤字のオンパレードだった。