ラブソングは舞台の上で

その後、晴海にもメールを作成。

もう『風邪引きました』という文字すら打つのが面倒だったので、詩帆さんたちに送ったのと同じ体温計の画像だけを添付して送信した。

彼なら大体の事態はこれでわかってくれるはずだ。

もし夕方までに熱が下がったら、稽古に出てもいいかなぁ……。

って、バカか私は。

みんなにうつしてしまったらどうするんだ。

今日はもう仕方がない、諦めよう。

完全に治すことに専念しなければ。

フラフラしながらキッチンで湯を沸かし、粉末のスープと生姜湯を作り、テーブルで少しずつ飲む。

食欲はないが、何も食べないよりはマシだろう。

飲み物だけなのに、20分くらいかけて完食した。

済んだ器もそのままに、堪えられずベッドへダイブ。

体を縮めてブルブル震える。

ああ、もう本当に最悪だ。

目が覚めて少し楽になってたら、マスクを着けてコンビニへ行こう。

水分と食料が必要だ。

それから——……

ぼんやり考えている間に、眠りについた。

深い深い眠りだった。


< 179 / 315 >

この作品をシェア

pagetop