ラブソングは舞台の上で
ヴーーー ヴーーー ヴーーー
枕元でしつこく震える携帯電話の音で目が覚めた。
画面を見ると、『森翔平』と表示されている。
「もしもし……」
「明日香? 俺だけど。具合どう?」
発熱のことを所長か詩帆さんから聞いたのだろう。
心配して電話をくれたらしい。
時計を見ると、夕方の6時を回っていた。
朝からこの時間まで、一度トイレに起きただけで、約10時間ずっと眠ってしまっていた。
「ありがと。ずっと寝てて今起きたから、よくわかんない」
「病院は?」
「行ってない」
「飯は? 食った?」
「ううん。朝ちょっと食べて、それっきり」
「やっぱりそうか。今、玄関まで出られる? 風邪でも食えそうな飯、いくつか買ってきた」
「えっ……ほんと?」
直後、チャイムが鳴った。
ベッドからインターホンの画面を見ると、電話を耳に当てている翔平らしき人物が映し出されている。