ラブソングは舞台の上で

「他になんか欲しいものがあったら言って。想像以上に辛そうだけど、一人で平気?」

「うん。一人で大丈夫」

とは言いつつ、だんだん視界がチカチカしてきている。

今すぐ寝転がりたい。

本当は一人では心もとないけれど、病気だからってヨリを戻そうと提案してきた彼に付け入らせてはいけない。

私がそう思っていることを、彼は察しているようだった。

「そうか。ここにいると冷えるよな。俺もう帰るから、これ食べて寝て」

「うん。ありがと」

「何かあったら何時でも遠慮なく電話していいから」

「うん。ヤバそうだったら電話するね」

翔平はこれ以上冷気が入らないよう、私の部屋のドアをしっかり閉めてから去っていった。

目眩が激しくなってきて、私はとりあえず玄関の段差に腰をかけて深呼吸をした。

息が上がり、熱いはずの体がキンキンに冷えていく。

とりあえず、水分……。

翔平がくれたコンビニ袋の中からスポーツ飲料を取り出し、飲めるだけ飲み込んだ。

そのまま頭を下ろして廊下に寝転がると、目眩は少しずつ回復していった。

もしかしたら思ったより悪いのかもしれない。

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