ラブソングは舞台の上で
私の「うん」はだんだん鼻声になっていく。
「明日香」
晴海がそれを聞き逃すはずがない。
「……ぐすっ」
堪えきれずに鼻をすすった。
涙が目からこぼれて枕に染みる。
晴海、晴海、苦しいよ、辛いよ、寂しいよ。
晴海は私の心境を全て悟ったように、穏やかな声で言った。
「待ってろ。すぐに行く」
その瞬間、私の涙腺は崩壊した。
「うん……!」
晴海が来てくれる。
それだけで、こんなに嬉しい気持ちになる。
でも苦しくて、申し訳なくて、具合悪くて、もうわけがわからない。
私はボロボロ涙を流して無駄に体内の水分を消費しながら、彼の到着を今か今かと待ちわびた。
だけど顔色が悪い上に涙でまぶたを腫らしたお世辞にも美しいとは言えない顔を、このまま彼に見せてしまうのは、どうしても乙女心が許さない。
私は残りの体力を振り絞り、さっき翔平がくれた飲み物のペットボトルでまぶたを冷やしながら、全速力でこちらに向かっているであろう彼の到着を待った。